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MTAの話

こんにちは。金川歯科の姜(かん)です。

歯科では様々な種類のセメントを使って、虫歯の穴を詰めたり、被せ物を固定したりします。

その中でも、MTA(Mineral Trioxide Aggregate)という歯科用セメントが、歯の神経を残してくれる材料として注目されています。

今回はMTAについて知っていることを書いてみます。

はじめは工業用セメントから作られた

最初に考案されたMTAは、ホームセンターに行けば手に入る「ポルトランドセメント」を原料にして作られました。

ポルトランドセメントは、灰色〜灰白色の粉末をしていて、粉末に水を入れて混ぜると固まります(水硬性セメント)

コンクリートが固まるのも、このポルトランドセメントのおかげです。ポルトランドセメントに、砂と砂利を混ぜたものをコンクリートというのです。

1990年代初めごろに、アメリカのLoma Rinda大学のMahmoud Torabinejad先生が、根の治療で偶発的にできてしまった歯根の穴(根管穿孔)を封鎖する目的で、はじめてポルトランドセメントを試したそうです。意外にもその結果が良くて、今では根管治療領域でその活用幅を広げています。

MTAの作り方・成分

MTAの主成分はポルトランドセメントですが、ポルトランドセメントは何でできているんですかね?

ポルトランドセメントの作り方は意外に簡単です。

石灰石、粘土、珪石、鉄などの鉱物をよく粉砕して混ぜて1400度以上の高温で焼きます。これでできた塊をクリンカーと言います。このクリンカーを粉砕したものがポルトランドセメントになります。

クリンカーの主成分はケイ酸カルシウムであり、細かくいうと、ケイ酸三カルシウム(エーライト)、ケイ酸二カルシウム(ビーライト)、アルミン酸カルシウム(アルミネート相)、カルシウムアルミノフェライト(フェライト相)で構成されています。

この中で、歯科用として有効な成分はケイ酸三カルシウムとケイ酸二カルシウムですが、特にケイ酸三カルシウムが歯科用セメントとして使われています。ケイ酸二カルシウムはセメントの遅延硬化に働くのですが、水和反応で硬化するのに数週間もかかってしまうので、硬化が遅すぎて歯科用としては向いていません。ケイ酸三カルシウムは約3時間で硬化するので、ケイ酸二カルシウムに比べれば非常に速いと感じますが、それでも歯科用セメントの中ではかなり硬化が遅いもので、いかに硬化時間を短縮できるかもMTAの課題となっております。

従来のMTAの原料は天然由来のため、重金属などの不純物を含有するといわれており、最近の後発製品は高純度のカルシウムやケイ酸の試薬を原料にしてできた合成MTAもあります。

ポルトランドセメントとMTAの違い

細かい組成はもちろん違いますが、両者の決定的な違いは、造影剤が入っているかいないかです。

歯科治療においてレントゲン写真は欠かせないものですが、レントゲンに映るようにするものが造影剤です。

元祖MTAといえるDentsply社のProRoot MTAには酸化ビスマスという造影剤を配合してあります。(MTA粉全体の1/4程度)

しかし、酸化ビスマスは、血液成分や露光などが原因で黒変し、特に前歯に使った場合、歯が黒く変色してしまい、審美障害を生じてしまいます。

なので、酸化ビスマスの代わりに、酸化ジルコニウム(ジルコニア)や酸化タンタルなどが使われるものも出ています。タングステン酸カルシウムなどの造影剤も代わりとしてあげられます。

もっと使いやすいMTAへ

MTAの改善すべき点として、歯の変色、硬化時間の短縮、操作性改善があげられます。

歯の変色に関しては、原料に鉄成分を排除する、酸化ビスマス以外の造影剤に代えるなどで改善でき、硬化時間に関しても塩化カルシウムやアルミン酸の配合などである程度改善できます。

もう一つのMTAの問題点として、操作性が悪い、すごく扱いづらいというところがあります。

MTAの場合、1症例に対して非常に微量しか使わず、多くて0.3g程度しか使いません。なので、水で練った練和物は、水の量の変化に非常に敏感で、少し水が多くなるだけでゆるくなってしまい、窩洞への移送や充填を難しくしますし、物性の低下にもつながります。

こういった問題を解決するために、脂肪酸や増粘成分をMTAの粉末や水に添加し、とろみをつけたり、シリンジで出せるようにしたり、パテ状にして賦形性をもたせたりして、流動特性を改善することで、操作性改善をはかっています。


今日はMTAの裏話的な記事を書いてみました。

最近、光で固まるのものや象牙質接着性レジンに混ぜたものなどが開発されて、臨床的に大変便利なものが出てきていますが、MTAといえば、やはり水と直接反応して固まるところが本来の姿だと思っています。

いろいろなMTAが登場しているいま、みなさんのMTAの基礎知識に少し役立っていれば嬉しいです!

今日の記事は以上です!

 

 

 

富山市総曲輪の歯医者|金川歯科

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