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細菌と仲良く暮らす!マイクロバイオームとは

こんにちは。

今回は、奥田克爾先生が書いた「デンタルプラークのすべて」という本を参考に、マイクロバイオームやプロバイオティックスの概念について解説していきます!

私たちと細菌の共生?

私たちのお口やお腹の中には、たくさんの細菌が住んでおり、巨大なコミュニティを形成しています。

歯周病、う蝕など、細菌は病原体としての認識がどうしても強いですが、実は、私たちは細菌たちと仲良く暮らしているのです。

遺伝情報の全体のことをゲノム(genome, gene + ome)、タンパク質の総体のことをプロテオーム(proteome, protein + ome)と呼んでいるように、私たちの体の中に住み着いている細菌などの微生物の総体のことを「マイクロバイオームmicrobiome」といいます。

この「マイクロバイオーム」の概念を理解することで、アレルギーや生活習慣病などのさまざまな疾病を解明しようとする研究が行われています。

マイクロバイオームとヒトが良い関係性を持っていれば、その人は健康であり、マイクロバイオームとあまり良い関係ができていないと、いろんな病気につながるらしいです。

特に、腸内マイクロバイオームは善玉菌、日和見菌、悪玉菌にわかれるんですが、悪玉菌(ウェルシュ菌・大腸菌・フィルムクテス菌)が優勢な人は、肥満、糖尿病、肌荒れ、アレルギー、認知症など健康が破綻するといわれており、腸内マイクロバイオームの破綻、つまり、悪玉菌優勢の「ディスバイオーシスdysbiosis」の状態になっているんです。

逆に、善玉菌が優勢なマイクロバイオームを構築することで、体の健康を整えることができると期待されています。ヨーグルトのCMなどでよく耳にする乳酸菌、ビフィズス菌が善玉菌の代表です。

善玉菌の働き

我々の腸内マイクロバイオームのうち、善玉菌として知られているのが、乳酸桿菌、ビフィズス菌、そしてやせ菌として知られるバクテロイデス属があります。

善玉菌の役割を知るために、まず、セロトニンについて知っておきましょう。

セロトニン」は脳内における神経伝達物質で、脳の最適な覚醒状態、心のバランス、自律神経のバランスを整える働きをし、「幸せホルモン」とも呼ばれています。

セロトニンを産生するためには、ビタミンB6という栄養素が必要ですが、私たちは、ビタミンB6を合成するための酵素を持っていないので、自力ではビタミンB6を合成することができません。どうやってビタミンB6を作るかと言うと、腸内細菌の酵素の力を借りて作るのです。

善玉菌の乳酸菌やビフィズス菌は、腸内環境をちょうど良いpHにすることで、ビタミンB6の合成を活性化し、結果的にセロトニンの合成を活性化することで、心や自律神経のバランスを整えてくれます。

また、善玉菌によって調整された弱酸性の腸内pH環境は、セロトニン合成活性だけでなく、免疫細胞を刺激することで、免疫力をアップさせ、かぜやがん、アレルギーに強い体質にしてくれといわれています。

まとめると、善玉菌優勢のマイクロバイオームは、

1)セロトニン合成を活性化することで、脳機能を活性化する

2)免疫細胞を刺激することで、免疫力をアップする

といった働きがあるそうです!

どうすれば善玉菌を定着させる?

乳酸桿菌やビフィズス菌などの善玉菌を優勢にして、私たちのマイクロバイオームをいい方向に持っていければ、体の健康につながります。

実際、乳酸菌やビフィズス菌などが入っているヨーグルト製品がたくさん市販されており、そういったヨーグルトを食べることで、善玉菌も一緒に腸管内に送り込まれ、善玉菌優勢の良好なマイクロバイオームを作ることが期待されます。

このように、善玉菌を直接腸内に送り込んで定着させる戦略を「プロバイオティクスprobiotics」といいます。

一方、オリゴ糖や食物繊維など、腸内に定着している乳酸菌の増殖や活性化を促す食べ物を食べることで良好なマイクロバイオームを形成する戦略を「プレバイオティクスprebiotics」といいます。

お口の中のマイクロバイオームをよくして、お口の健康を守る!

マイクロバイオームの概念を理解していれば、病気と戦う戦略の幅が広がることがわかりました。

歯科でも、お口の良好なマイクロバイオームを構築することで、う蝕や歯周病などのお口の悩みを解決する動きが活発に出てきています。

特に、以前から「ロイテリ菌(Lactobacillus reuteri)」が注目されていますが、ロイテリ菌は、食中毒の原因菌やロタウイルス(小児の胃腸炎の原因)を攻撃してくれるといわれていますし、免疫に働きかけて炎症性物質の産生を抑えることでアレルギーを防ぐことも報告され、プロバイオティクスでも特に注目されている善玉菌です。

実際、歯科でも、ロイテリ菌のヨーグルトやタブレットを摂取することで、虫歯菌(Streptococcus mutans)や歯周病原菌(Porphyromonas gingivalis)の減少がみられたという研究結果が出てきているそうです。

以前のような細菌と戦う「アンチバイオティクスanti+biotics」ではなく、細菌と共存する「プロバイオティクスpro+biotics」が病気を克服する新しい戦略なのです!

 

今回は、マイクロバイオームの概念について解説しました。

私たちの味方の細菌を増やすことで、体の健康が保たれるということがわかりましたね!

それではまたです!

 

 

富山市総曲輪の歯医者|金川歯科

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